宇宙の愛 カルロにおけるギリシャ神話は作品の大いなるモチーフとなっているが、ギリシャ神話にくりひろげられる物語こそカルロにとって宇宙の根源をつらぬく一大叙事詩ともいえよう。宇宙は常に変幻自在であり、生と死をくり返す、いわば不安定なものの象徴ともとらえられる。であるからこそ、宇宙に顕現した生命は死をはらむ故に愛しく、うるおしいのであろう。宇宙の妙なる法則からみれば生も死も歓喜である・・・このパラドックスをカルロは本作に表現したのではないだろうか?
シェルカメオに描かれた掌(たなごころ)こそ、宇宙の大いなる意志であり、そしてそれこそが神であり、カルロ自身の内なる生命という小宇宙であると解することができる。
カルロという偉大なる芸術家の魂が森羅万象と共鳴したともいうべき渾身の作品といえよう。
「宇宙の愛(私たち)」1982年作:上
(100mm)サードニックス
 
「宇宙の愛(私たち)」2000年作:下
(100mm)サードニックス
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