キリスト 文明の夜明けから語り継がれる神話の世界一、中でもギリシャ神話に描かれるドラマを作品の主たるモチーフとしてきたカルロの手にかかると、かのメデュウサもかくのごとく華麗かつ斬新なオブジェとなる。メデュウサMedusaという語はギリシャ語で「女王」を意味し彼女が神々の中心にあったことを示している。
瞳を見た者を石に変える、というメデュウサ。その伝説から恐怖の対象という面が広く認識されることになるが本来、彼女は「至高の女性の知恵」すなわち究極の真理の象徴つまり生・死・再生という永遠の創造を意味する。
カルロはこの無限のパワーを鮮やかなモモサンゴと壮厳ともいえる18金の彫金で表現、さらに象牙と黒檀の白黒のコントラストを用い、生と死という不変の真理を表出。自身の宇宙観を力強く投影し、カルロコレクションの精華といえる仕上がりを見せている。
「キリスト降架」1981年作:左
(70mm)サードニックス
 
「イエス キリスト」「聖母マリア」1986年作:右
(56.1g/47.6g)サンゴ
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